ラオスで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と日中韓の外相会議は、共同体づくりを話し合う最初の首脳会議にインドとオーストラリア、ニュージーランドも招くことを決めた。
首脳会議は12月にマレーシアで開かれる。参加するのは、当初想定されていた13カ国から16カ国に、域内の人口も20億人から30億人に膨れ上がる。
参加国の拡大をもたらした最大の要因は、中国のアジアでの存在感が一段と増したことにある。
経済の急成長を背に、中国は02年にASEAN側と自由貿易協定を含めて包括的な経済協力を進めることで合意した。農産物の一部を前倒しで自由化するなど積極的な経済外交を展開している。
当初は様子見をしていた共同体構想についても、途中から前向きの姿勢に転じた。一時は「首脳会議は北京で」と名乗りを上げたほどだ。
今回の会議で、ASEAN側が2回目の首脳会議の開催地も「ASEAN域内」と決めたのは、中国主導で話が進むことを警戒したからである。
一方、日本政府はインドや豪州に参加を働きかけてきた。中国の存在感を薄めるのが狙いだ。それは、中国が共同体を米国に対抗する組織にしようともくろんでいる、と疑う米政府の意向に沿ったものでもあった。
互いの思惑がぶつかり合い、共同体構想は船出の前から先行きが危ぶまれる事態になった。
だが、もともとが遠大な構想だ。政治体制はもとより文化や宗教の面でも複雑で多様なのがアジアだ。10年や20年で実現できるようなものではない。ここは、どっしりと構えて事に当たりたい。
日中韓とASEANの間では、外貨不足に陥った国への支援の枠組み作りや、各国の債券市場を育てる共同作業が始まっている。テロ防止や海賊対策、津波などの災害対策といった分野でも、協力の仕組みができつつある。
こうした課題に取り組むことを通じて、まず緩やかな経済共同体を作り、その先に政治的な連携の道を探るという構想のはずだ。
あせることはない。インドなど3カ国も仲間に加え、具体的な成果を積み重ねていくことだ。時間はかかっても、一緒に汗をかくことで、共同体の姿もおのずと浮かび上がってくるだろう。
何とも気がかりなのは、日本の影が余りにも薄いことだ。
町村外相は国連安保理の拡大決議案をめぐる根回しに追われ、ラオスには一度も足を運ばなかった。日本の代表団には冷ややかな視線が浴びせられた。
足元のアジアを軽んじているようでは、常任理事国入りどころではない。

